フィリピンのストーリー
Storyー from The Philippines
支援から自立へー住民組織が切り開く未来

フィリピン南部ミンダナオ島の北サンボアンガ州。私たちMindanao Resource Institute for Community Empowerment, Inc.(MINRICE)は、2006年よりチャイルド・ファンド・ジャパンと連携して、スポンサーシップ・プログラムの支援を開始しました。
他の地域と同様、子どもたちへの学用品の提供、健康診断や栄養剤の支給、子どもの権利のワークショップなど、皆さまの支援を通して、子どもたちの成長と教育を支え続けてきました。地域の母親ミシェルさんは、「支援のおかげで、特に娘の教育に関する費用を助けていただきました。また、ワークショップなどに参加することで、娘はリーダーシップの才能を伸ばし、他者への思いやりを持つようになりました。」と、支援に対する感謝の気持ちを語っています。

こうした支援と同時に、私たちが特に力を入れているのが、住民組織の運営です。
2010年、当時、支援を受けていた家族や地域住民たちと会議を重ね、「地域の私たちが自立した組織となって、自ら地域の生活改善を担っていくべきだ」と決意を固めました。そして、2010年9月には、協同組合を立ち上げ、協同組合開発局にも正式に登録。立ち上げ当時は、2つの村から53人のメンバーが参加し、資本金200ペソでのスタートでした。
協同組合の主な機能の一つが資金の貸付です。金利3%という他に比べて非常に低い金利でお金を借りることができるため、収入の低いこの地域の家庭でも、お金を借りやすくなっています。
地域住民の一人、ヴィヴィアンさんは次のように話しています。
「住民組織の会員として、低金利の貸し付けサービスを利用することができ、とても役立っています。生活に必要なものを購入したり、家の修繕をしたりすることができました。」
様々な困難もありましたが、チャイルド・ファンド・ジャパンの支援を受けながら、住民組織に対して様々な研修を実施していきました。組織運営、財務管理、事業計画の策定方法、助成金を獲得のための提案書作成など、多岐にわたります。最近では、ジェンダー主流化などの研修も行っています。
2010年に53人から始めた組織は、今では10倍以上の858人を擁する先駆的なコミュニティベースの組織となりました(2024年12月31日現在)。土地の購入も行えるようになり、地域行政の助成金も獲得して太陽光発電のついた倉庫も建設。さらに、2025年2月の完成に向けて、3階建ての建物も建設中です。

「私は発足当時からのメンバーですが、チャイルド・ファンド・ジャパンの支援、そして協力団体の支援で、様々な技術、知識を教えていただきました。いまこんなにも大きな組織に成長できたもの、支援のおかげです。」(ヴィヴィアンさん)
これからも私たちは住民組織への技術支援などを継続しつつ、徐々に組織自身が独立した団体として運営できるようにしていきたいと思っています。