チャイルド・ファンド・ジャパン

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チャイルドたちが地域を巻き込んで行った防災キャンペーン

自然災害の多いフィリピンで、子どもたちが防災の知識を身につけ、地域での防災の取り組みにおけるリーダーとなることを目的としたプロジェクトを行っています。

今年5月には、チャイルドたちを対象として、自然災害の基礎的な知識、フィリピン国内の法律や政策、取り組みを学ぶ防災研修を開催しました。研修後には、それぞれの地域でチャイルドたちが主導して防災意識向上のキャンペーンを行うことになっており、研修ではグラフィックデザインや劇など、キャンペーンに必要な技術も学びました(5月の研修の様子はこちらでご報告しています)。フィリピン中部にある協力センター24のチャイルドたちが、研修で学んだことを活かして7月に行った取り組みをご紹介します。

センターの支援地域の一つであるこの地区では、たびたび洪水が起こっていました。その原因は、人々の生活用水の源となっている小さい川が、台風などの大雨によって氾濫してしまうことにありました。川沿いには家が立ち並んでいるため、洪水のたびに床上や床下への浸水が起こり、問題となっていました。そこでチャイルドたちは、キャンペーンのテーマに洪水を選び、環境を守ることで災害の影響を軽減しようと呼びかけるパレードとイベントを企画しました。


パレードに参加するトライシクル

パレードは、交通手段としてフィリピンの人々の生活に欠かせないトライシクル(サイドカーつきオートバイ)を使って行われました。手書きのスローガンや風船で飾った18台のトライシクルにチャイルドたちが乗り、地区を走る4kmほどの通りを往復して環境保護と防災への意識向上を呼びかけました。道沿いでは、多くの住民たちが手や旗を振りながらパレードを出迎えました。


トライシクルには様々なスローガンが貼られています。こちらは「自然を守ろう」のメッセージ

そのあとは、広場へ場所を移してイベントを行い、チャイルドたちが防災の啓発のための歌や劇、ダンスなどを披露しました。続いて、市の防災対策委員会から地区のリーダーたちへ、防災キットと水位警報装置の模型の引き渡し式が行われました。地区レベルでの防災能力を強化し、より効率的な災害対策へとつなげていきます。


研修で習ったことを活かして劇を上演しました

パレードとイベントには、チャイルドやその家族だけでなく、地域住民、村長や村議員といった行政関係者らを含む100人以上の参加があり、キャンペーンは成功のうちに終わりました。行政の関係者の参加を得られたことで、センターでの子どもたちの活動にとどまらず、地域に根差した取り組みとなる一歩となりました。村長と村議員たちは7月に新たに選出されたばかりでしたが、着任直後に代表のチャイルドたちが表敬訪問を行いプロジェクトについて説明した結果、参加が決まったという背景があります。そのようなチャイルドたちの積極性や行動力、また地域の人々が楽しんで参加できる企画を立てた工夫が、キャンペーンの成功に結び付きました。