スリランカ経済危機 - 地域みんなで危機を乗り切る「コミュニティー・レスポンス・ハブ」
深刻な経済危機が続くスリランカ。2022年7月には、食品のインフレ率が前年比90%という異常な数値を記録するなど、人々の生活に甚大な影響を与え続けています。ガソリンなどの燃料不足も続き、交通機関に大きな影響を与えるとともに、停電が一日に5時間続くこともあるといいます。
支援地域の子どもたちや家族にも大きな影響が及んでおり、食事の量や回数を減らさざるを得ない、交通機関が高くて乗れないなど、生活や教育が脅かされています。
チャイルド・ファンドでは、この深刻な危機に対する支援活動を続けています。5月から7月にかけては、1899世帯に食糧セットを配布するとともに、子どもたちや母親698人に日中の食事の提供を行いました。また、停電で勉強する時間が限られてしまう子どもたち3,047人に太陽光で充電できるライトを支給し、848人の子どもたちに通学のためのバス代を支給するなどして、子どもたちの教育を守る活動を続けています。
※チャイルド・ファンド・ジャパンが支援する地域に加えて、チャイルド・ファンド・インターナショナル (アメリカ)が支援する地域も含む
今回の経済危機に対する支援活動においては、地域の力を高めていくこと、地域全体で困難に対処していくことができるようにすることに力を入れています。地域の人々自身がニーズや活用できるリソースを特定し、関係者と連携して、活動を計画・実行していくことができるようにし、長期的な危機にも対応できることを目指しています。
具体的には、地域に「コミュニティー・レスポンス・ハブ (地域対応拠点)」と呼ばれる地域住民が参加する組織をつくり、その運営をサポートしています。スリランカの支援地域に50ヵ所以上設置し、約2万人の地域住民を支援していきます。
コミュニティー・レスポンス・ハブは、地域住民が誰でも参加することができ、緊急時のニーズに対処をしたり、地方行政官など支援に関わる外部関係者との連携をはかったりする組織です。例えば、下の写真は、コミュニティー・レスポンス・ハブの活動の一環として行っている、コミュニティー・キッチンの様子。共同で栄養価の高い食事をつくり、主に5歳以下の子どもたちと妊婦さんや授乳中のお母さんなどに提供しています。
コミュニティー・レスポンス・ハブでは、食事だけではなく、子どもを暴力から守る子どもの保護、教育などについても、問題を共有して話し合い、解決策を探っています。
チャイルド・ファンドは、こうした組織の立ち上げ、運営能力向上を支援しています。スリランカの経済危機はまだまだ続くと見られ、支援も長期化する見込みです。地域の力を高めることで、より持続的な対策を行っていきます。