スリランカで食事の提供や家庭菜園の支援を行い、子どもたちの栄養状態が回復してきています
深刻な経済危機に陥ったスリランカ。食品や燃料などの急激なインフレが起こり、チャイルド・ファンド・ジャパンが支援する貧困地域に暮らす人々は、日々の食糧を確保するのも難しくなるほど、甚大な影響を受けています。
チャイルド・ファンド・ジャパンでは、子どもたちの食を守り、健やかな成長を支えるため、「コミュニティー・キッチン(共同食堂)」での食事の支援を行ってきました。週に3~4回のお昼ご飯の提供を行うとともに、月に一度、子どもたちの体重を測るなどの健康状態のチェックも、地域の人々を中心に行われました。多くの子どもが低体重の危険にさらされていましたが、支援実施後、子どもの体重が増加し、健康状態が改善されてきています。
家庭菜園の支援も、家庭菜園に関心を示す低体重の子どもがいる家庭を選んで実施しました。土地や堆肥の準備、つくる作物の選択、管理のしかたなどの研修に加え、種子や農機具の提供も行い、実際に各家庭で栽培が行われました。
また、地域全体で食糧を確保するため、地域菜園を作る取り組みも行っています。場所の選定、土壌と水分の保全、土地に適した作物の選定、灌漑に関する技術研修などを実施しています。収穫物の20%はコミュニティー・キッチンに提供され、持続的に食事提供が行えるようにしています。
こうした支援を通して、子どもたちの健康状態は回復してきています。支援地域に暮らす女の子セヌリも、支援によって元気を取り戻した子どもの一人です。
セヌリはとても痩せていて、元気がなく、低体重のカテゴリーにありました。この状態が続けば、身長や体重はもとより脳や認知能力の発達にも影響するため、両親はセヌリの健康と将来をとても心配していました。
コミュニティー・キッチンの支援が村で始まってから、セヌリの状況は大きく変わりました。食事支援のおかげで、栄養のある食事をしっかりととることができるようになりました。セヌリのお母さんも一生懸命に働き、栄養について学び、栄養のある食事をつくることに力を注ぎました。
セヌリの状態はどんどんよくなっていき、4ヵ月後、彼女の体重は健康的な範囲にまで回復しました。
このようにセヌリの健康状態が改善したことは、地域の人たちのモチベーションの向上にもつながっています。村の人たちは、コミュニティー・キッチンなどの支援がセヌリに大きな変化をもたらしたことを目の当たりにし、自分も支援活動に参加しよう、もっと協力しようと考えてくれるようになったのです。彼女の成功事例が、地域の人たちの結束を高め、子どもの健康に対する意識も高めてくれました。
スリランカの経済は、昨年のもっとも厳しい時期に比べ、改善傾向にありますが、支援地域の子どもたちや家族は依然として厳しい環境にあります。チャイルド・ファンド・ジャパンでは今後も子どもたちの健康と成長を支える支援を続けていきます。