フィリピンのマニラ首都圏で子どもへの暴力をなくす活動を進めています
子どもへの暴力が深刻となっているフィリピン。2016年に政府とユニセフが行った調査では、家庭、学校、地域などで暴力を経験したことがあると答えた子どもは80%にものぼります。近年は、OSEC(子どもへのオンライン性搾取)も急増し、世界でも最も問題が深刻な地域の一つとなっています。
チャイルド・ファンド・ジャパンは、「みんなで守る 子どもの権利プロジェクト」を通して、2023年度、フィリピンのマニラ首都圏において、子どもへの暴力をなくすための活動を進めています。プロジェクトでは、子どもたちや保護者に対して研修やワークショップを行い、子どもの権利や暴力についての理解を深めてもらうとともに、地域の体制づくりにも力を入れています。
こちらの写真は、地域の市民グループ、教員、地方行政関係者20名を対象にした研修の様子。子どもへの暴力をどのように防止していくか、事案が発生してしまった際には、通報をどのように受け、どのように対応していくかなどをテーマに行われました。
研修には、市の社会福祉部のスタッフも登壇し、事案対処の詳細なプロセスについても伝えてもらいました。参加者全体での議論やグループディスカッションを取り入れるなど、参加型の研修が行われ、研修を通して参加者は、事案の対処についての知識、理解を深めるとともに、事案を受けた際にどういった専門的な機関に照会していけばよいのか、といったことも学ぶことができました。
また、11月がフィリピンでは「子ども月間」とされていることに合わせて、地域での啓発パレードも行いました。子どもたち109名に加え、地域の女性団体、ユースグループ、行政の子どもの保護担当者など92名も参加し、子どもたちが直面している問題や要求などについて声をあげました。
プロジェクトでは、行政の主催するイベントなどにも参加し、子どもたちの抱える問題を広く伝えたり、行政に働きかけたりしています。こちらの写真は、行政が開催した「子ども会議」に、支援地域の子どもたちが参加したときの様子です。子どもたちがプレゼンテーションを行い、子どもへの暴力など、様々な問題について訴えました。さらに、ここで発表をした支援地域の子ども1人が、「子どもの保護地域協議会(The Local Council for the Protection of Children)」の代表メンバーに選ばれました。
チャイルド・ファンド・ジャパンでは、こうした地域や行政への働きかけも行い、子どもが暴力から守られる地域づくりをこれからも進めていきます。