チャイルド・ファンド・ジャパン

緊急支援

【ウクライナ緊急支援】氷点下の冬を乗り越えるための準備を進めています

2024年9月時点で、侵攻から2年半が経過しましたが、ウクライナの状況は依然として深刻です。国連によると、ウクライナの人口の40%(1,460万人)が人道支援を必要としており、その中には290万人の子どもと460万人の女性が含まれています。

また、電力インフラは最も大きな被害を受けており、2024年のはじめの5カ月で172件の攻撃が報告されています。この影響で、冬季に1日最大20時間の停電が予想され、水道や暖房設備が使えなくなる可能性があります。

さらに、ウクライナの国内避難民の約331万人は、屋根や窓が壊れている住居、断熱がされていない住居などの劣悪な環境での生活を余儀なくされています。ウクライナの冬の気温はマイナス4.8度~2度。ひどいときにはマイナス20度まで下がるため、人々の健康への影響が心配されます。

子どもたちへの影響も非常に深刻です。

この2年半の間に、約2,000人の子どもが死亡または負傷しました。また、多くの子どもたちが、戦闘による学校の閉鎖や医療施設の破壊などによって、日常生活を奪われました。現在、ウクライナの子どもたちの学校への登録率は40~50%で、多くの子どもが3年連続で教育を受ける機会を失うリスクにさらされています。

また、約150万人の子どもが戦闘にともなうトラウマを抱えており、子どもたちの心の健康を取り戻すために、包括的な心のケアの支援が急務です。

加えて、隣国モルドバへ避難をしたウクライナ難民の人々も深刻な状況に置かれています。ウクライナ国内同様に厳しい冬が近づき、特に幼稚園、学校、文化センターなどのコミュニティ施設での暖房設備の修理、ガスの整備、窓の修繕などが求められています。

また、モルドバに住むウクライナの子どものうち、約5%しかモルドバの学校に登録されておらず、残りはウクライナ教育省のオンライン授業を受けています。登録への障壁となっているのは、モルドバで受けた教育がウクライナで認定されるかどうか不確かであることや言語の違い、差別への恐怖など様々です。そういった子どもたちには、悲しみや攻撃性の高まりがみられ、モルドバ社会への適応を一層難しいものとしています。

チャイルド・ファンドは、2022年3月から今までに約50万人の子どもたちと家族に支援を届けてきました。

現在も、ウクライナにおいて、子どもの保護、心のケア、教育支援、水の支給、衛生設備の整備、シェルター設置、現金支給など、多岐にわたる分野で必要な支援を続けています。

昨年の冬季支援では、特に、小さな子どもがいる大家族、ひとり親の家庭、障がい者や高齢者を含む家庭を中心に、暖かい衣類や毛布、暖房用の木材、衛生用品を支給しました。この支援を受けた家庭は3,000以上にもおよびました。

また、モルドバでも、教育、食糧、保護などの分野で活動し、43,000人以上の子どもや女性の難民へ支援を届けてきました。

現状と昨年の活動をふまえて、今後、ウクライナとモルドバの両国において、越冬支援を中心とした下記の支援を行います。

(全体に向けて ※特に、子ども、女性、高齢者、障がい者が対象)
・暖房用の燃料の配布、および電気ヒーターやガスヒーターなどの暖房器具の配布
・暖房設備の修理
・家庭用の越冬支援物資の支給
・食糧と基本的な衛生用品の支給
・地雷や残留ミサイルなどへの注意を呼びかける啓発活動

(子どもと若者に向けて)
・子どもと若者にやさしいスペース(子どもの居場所)の修繕、および心のケアの提供
・言語やITなどを含む教育、およびレクリエーション活動の提供

ウクライナ・モルドバの厳しい冬に向けて、子どもたちとその家族が安全に過ごせるように、支援を行っていきます。皆さま、どうか引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。