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スリランカをおそう独立以来最悪の経済危機と支援活動

スリランカは現在、外貨不足による深刻な経済危機に陥っています。経済成長の停滞が続く中、新型コロナウイルスのまん延によって観光業が深刻な影響を受けるなどし、結果として外貨不足となり、デフォルト状態(債務不履行)となっています。

インフレ率は46%とも試算され、食糧など生活必需品の価格は高騰。燃料の価格は半年前の2倍になっていると言います。商品自体も不足しており、店の前には長い人の列ができています。また、停電が5時間続く日もあり、交通機関も大きな影響を受けています。

街では、ガソリンを買うために長蛇の列ができている

こうした危機的状況は、人々の政府への不満を引き起こし、各地で激しい抗議デモが行われました。4月には全閣僚が辞任、5月には首相が交代する事態となっています。

今回の経済危機は、スリランカが1948年にイギリスから独立して以来、最悪の事態であると言われ、支援地域の子どもたちや家族は、以下のような深刻な影響を受けています。

・燃料不足や交通機関の混乱によって、農家は収穫作業・輸送が困難となり、漁村地域では漁に出ることができなくなっている。
・日々の生活費が高騰し、収入の低い家庭では、食事の回数や質を落とさざるを得なくなっており、子どもたちや妊婦の栄養不良が深刻化している。
・家政婦として働くため中東へ出稼ぎに行こうとしている母親が増え、児童労働も増えている。
・学校への出席状況が悪化し、ドロップアウト(中途退学)も増えている。
・家庭内暴力や人身売買などが増えている。

チャイルド・ファンド・ジャパンでは、こうした状況に対し、スリランカ事務所と現地協力団体が連携して、子どもたちや家族の状況把握を行いました。それをもとに、通常行っている支援活動の優先順位を見直し、以下のように、現在もっとも必要とされている支援に活動を注力しています。

・食糧支援や家庭菜園、養鶏の支援を行い、家庭内の食糧不足、子どもたちの栄養不良、低体重を解消する。
・物価が高騰する中、学用品の支給を引き続き行い、子どもたちの出席率低下やドロップアウトを防ぐ。
・職業訓練を受けている青少年に対して奨学金や交通費補助を行い、通い続けることができるようにする。
・親のストレスを軽減し、家庭内での暴力を防ぐため、母親リーダーが中心となって、ストレスケアなどの方法を伝える。

現地では、こうした支援活動を行うスタッフ自身にも、経済危機による影響が及んでおり、燃料不足で事業地に行くことができないなど、様々な困難に直面しています。そうした中でも、現地スタッフと協力団体は、子どもたちと家族を守るための活動を工夫しながら続けています。

今後は、上記の支援活動を継続しながら、さらなる包括的な実態把握を進め、子どもたちと家族を守り続けるための支援を進めていく予定です。