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聴覚障害と向き合い一歩ずつ前へ ~フィリピンのチャイルド キニのストーリー~

2015年、フィリピンに暮らすキニは小学1年生のときにスポンサーシップ・プログラムに参加しました。

しかし2年後、学校の担任の先生やチャイルド・ファンド・ジャパンの支援スタッフが、彼が授業中にあまりにおとなしく、また授業についていくのに困難を感じていることに気づき、彼に検査を受けるように促したところ、聴覚障害が判明しました。医師によると、キニの右耳と左耳にはそれぞれ中度と重度の聴覚障害があり、そのためにコミュニケーション能力に遅れがみられるとのことでした。

それからキニは、聴覚障害に特化した支援を受けることになりましたが、障害と向き合う日々は、生活に多くの変化を強いることとなりました。より適切な教育を受けるため、従来の学校よりさらに離れた教育施設に転校し、そこで一から手話を学び、また、発話と聞き取りの訓練も受けなければいけませんでした。キニの父親は、配送業の仕事でわずかな収入しか稼げていなかったにもかかわらず、両親はできる限り彼のために尽くし、毎日学校に付き添いました。

家族の献身的な支援とチャイルド・ファンド・ジャパンの支援は、少しずつ成果を生み出し、2018年にキニは3年生に進級することができました。彼は、異なる年齢の子どもたちが一緒に学ぶクラスに参加し、そこでコミュニケーション能力と社会性をさらに伸ばすことができました。そして、2019年度には、スクールキャンプで「グッド・アシスタント・リーダー」に選ばれるまでになったのです。コロナ禍においては、学校の授業がオンライン化され、家に閉じこもる閉塞感と不安を経験しつつも、それらを乗り越え、小学校を無事卒業することができました。

現在、キニは7年生になり、学校の特別支援クラスに通っています。

キニは、自分のような障害を持つ子どもたちが社会で尊重され受け入れられることはそう容易でないと認識しています。 しかし、それでも彼はシェフになるという夢を叶えるため、目標に向けて一歩ずつ前進しています。