チャイルド・ファンド・ジャパン

最新ニュース

フィリピンのマニラ首都圏で進めていた子どもの保護のプロジェクトが完了しました

チャイルド・ファンド・ジャパンは、フィリピンにおいて、「みんなで守る 子どもの権利プロジェクト」を進めています。2023年度は、マニラ首都圏において、子どもたちをあらゆる暴力から守るための支援を1年間行いました。

フィリピンでは、子どもたちへの暴力が極めて深刻です。ユニセフが行った調査では、家庭、学校、地域などで暴力を経験したことがあると答えた子どもは80%にものぼります。昨今はオンラインでの子どもの性搾取も深刻で、この問題に巻き込まれた子どもは年間47万人にのぼると言われています。

チャイルド・ファンド・ジャパンは、これまでも各支援地域で子どもをあらゆる暴力から守る活動を続けてきました。2023年度はそうした経験も生かしながら、新たな地域マニラ首都圏で支援を行いました。

プロジェクトの主な目的は、子どもや家族、学校、地域の市民団体や自治体が、子どもへの暴力をなくすための能力を高めること、そして、子どもグループと市民団体の啓発・アドボカシー能力を高めることです。

そのために、まずは、子どもの権利や暴力に関する知識・理解を深める研修を行っていきました。 特に、教師や地元自治体職員、子どもの保護に関するサービスを提供するスタッフなどに対しては、専門的な3日間の研修を行い、3つの市から78人が参加しました。この研修では、子どもへの暴力をどう予防するかだけではなく、実際に事案が起きてしまった際の報告や対応、専門機関への引き継ぎの仕方、記録や分析の方法などについて理解を深めてもらいました。 昨今問題となっているオンラインでの性搾取についても扱いました。

子どもたち自身に対しても研修を行いました

啓発・アドボカシーに関しては、子どもグループと市民団体との定期的な会合を行い、子どもの暴力に関する様々な議論を行いました。子どもたちと地元自治体、子どもの保護関連のサービスを担う組織との会合も定期的に行い、政策や活動に子どもたちの声が反映されるようにしていきました。

さらに 、子どもグループに対して、3日間のアドボカシーに関するワークショップを開催しました。子どもたち30人が参加したこのワークショップでは、アドボカシー活動に当事者である子どもたちが参加することの重要性を伝えるとともに、暴力をなくすためのアジェンダ(行動計画)を子どもたちの声を盛り込みながら作成しました。作成したあとは、子どもたちが、町議会メンバー、市民団体スタッフ、教師などに向けてアジェンダを発表し、アジェンダを支持することを誓うための署名をしてもらいました。

アジェンダに署名する様子

一方で、市民団体の代表メンバーにもアドボカシーに関する研修を行い、子どもたちが行うアドボカシー活動をどうバックアップしていくかを学びました。

市民団体のメンバーが議論する様子

さらに 、フィリピンでは11月が子ども月間と定められているのにあわせ、11月から12月にかけてイベントを開催しました。このイベントの一環で行ったパレードでは、子どもたちが子どもへの暴力に関するメッセージを掲げ、コミュニティーを歩いて回りました。パレードには町議員も参加するなど、多くの関係者を巻き込んだイベントにすることができました。

メッセージを書いて、地域の人々に訴えました

こうした一連の活動を通して、子どもたちのみならず、子どもを取り巻く人々の知識やスキルを高めることができ、さらに、「子どもたちを守る」という意識を大きく高めることができました。また、地元の市民団体や子どもグループの組織としての力を高めたことで、今後も彼ら自身が自立的に活動を担っていける体制をつくることができました。

チャイルド・ファンド・ジャパンは、このプロジェクトの成果を引き継ぎながら、同地域で2024年よりスポンサーシップ・プログラムによる支援、ボイス・サポーターによる支援活動を始めました。子どもの保護の支援を引き続き行いながら、学用品の支給といった教育支援、栄養補助食支給といった保健・衛生支援も行っていきます。

また、「みんなで守る 子どもの権利プロジェクト」は、支援地域をミンダナオ島に移し、紛争が起こった地域での幼児教育支援を行っていきます。

いずれも皆さまのご協力があってはじめて、子どもたちへ支援を届けることができます。どうぞ引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

・マニラ首都圏での今後の支援について詳しくはこちら
・「みんなで守る子どもの権利プロジェクト」についてはこちら