【報告】多文化共生フォーラム Living Together in Suginamiを開催しました!【後編】
3月25日(火)に開催した「多文化共生フォーラム Living Together in Suginami」。活動報告前編では、第一部調査結果報告の様子と、やさしい日本語ミニ講座の様子をご報告いたしました。後編では、第二部パネルディスカッションの様子をご報告いたします。
第二部、パネルディスカッション!
事務局長の武田がモデレーターを務めながら、杉並区長 岸本聡子氏、日本生活・語学支援機構理事長 宮原睦子(あつこ)氏、そして、外国にルーツのある子どもの保護者である中国出身のトウ氏とネパール出身のギミレ氏の2名を交えて、パネルディスカッションを行いました。

互いを尊重し合える意識!
はじめに、杉並区多文化共生基本方針を岸本区長にご紹介いただき、個々を尊重することが大切であるとお話しいただきました。
調査報告について!
「保護者同士が集まる場所が欲しい」という調査報告に対して、トウ氏は「子どもの入学準備や、学校生活で分からないことがたくさん。誰に聞けばよいのかもわからず、SNSで調べるしかなかった。集まる場所があれば経験を聞けたのであると良いなと思いました」と自身の経験から語ってくれました。
ギミレ氏も「日本に来て、すべてが新しく生まれ変わった。子どものようだった。だから難しかった。なんで日本に来たんだろうと思うほど。少しずつ日本に適応して改善したが、周りの人との関係性が大切、そういう場が大切だと思う」と語りました。
コミュニケーション支援!
チャイルド・ファンド・ジャパンが行っている「学びのフレンドリースペース(通称フレスぺ)」が紹介されました。
ギミレ氏は、「日本の文化や日常生活を学べる良い機会で、子どもも日本にも馴染みやすくなり、良い機会だと思う」と評価し、 岸本区長も、「区としても日本語を学ぶ機会を作っていくのが重要な取組の一つとして考えている。区だけではなく、いろんな人がいろんなところでやっていくのだと思う」とコメントしました。
多文化共生の拠点整備!
宮原氏は、「日本語教室をやっているが、教室で日本語を使うけど、教室の外では使う機会が少なく、学んだことを生かせる場が無いのだという意見がある。仕事のために来日する人や保護者は、日本語を使うのが少ない。拠点があると交流の輪が広がっていく、情報を得たり、心の支えになったり。お互いの経験、知見が活かせる場になる可能性もある」と交流拠点について語りました。
トウさんは、「例えば献立とか、和食を教えてほしいし、中国料理のおいしいものを互いに紹介したり。餃子は中国人なら誰でも作れます」とコメントし、
ギミレ氏も、「モモ(ネパール版の小さめの餃子)は中身は餃子と同じだけど、味は違うから紹介しあえると良い」と拠点で広がる交流の可能性を語ってくれました。
岸本区長も、「多様性のあるダイニング(diversity dining)、楽しさもあるコンテンツが大切だと思う」と述べ、 言葉ではないコミュニケーションとしての食べること、食文化を通じた交流の可能性が示されました。

マルチステークホルダー連携!
地域の多文化共生を進めていくためには、区の方針に沿って、関係者が連携していくことが重要です。
宮原氏は、「日本語の勉強も大切だが、体験や共有の場も増やしていきたい。エルジェでも食を通した体験は人気コンテンツ。そば打ちや和菓子作りなどもやった。日本での生活がより充実したものになるのではないかと思う。」と、所属団体の今後の支援の方向性を語りました。
これに対し、トウ氏からは、「2年前よりも外国人が増えてきたと感じた。こういう傾向がある中で、日本で生活をするにはこういうイベント、活動があるとすごく嬉しい。日本のことがいろいろと分からないことが多い。地震が来た時どうすればよいのか、そういう知識がほとんどない。長い永住を踏まえると学ぶ機会が少ないと思う。そういう活動があると良い」と民間団体の活動に期待する発言がありました。
ギミレ氏は、杉並区の取り組みと民間の取り組みに触れ、「官民連携はひとつのコインみたいなものでとても必要」とそれぞれが連携し、地域の取り組みを補完し合うことの大切さを、力を込めて語りました。
岸本区長は、「このことは(同方針の重点項目3の)すべての人が活躍する地域づくりに関連する。民間の活動や参加、連携が促進されるような(自治体にしかできないのは、)公共政策を作っていくこと。そこに注力をしていきたい」と抱負を述べました。
最後に、・・・
パネルディスカッションの最後には、登壇者それぞれからコメントしてもらいました。
宮原氏 「杉並区には外国ルーツの区民サポートの団体が10ほどある。杉並区多文化共生基本方針をベースに互いの協力が大切」
ギミレ氏 「外国人を地域住民として受け入れてくれており、日本人、地域に支えられ感謝の気持ちでいっぱい」
トウ氏 「感謝。日本に来た時は不安でしたが、今は暮らしやすい杉並区で安心。区から先生のサポートもあった。これからも杉並区がもっと良い地域になるよう、外国人として頑張りたいと思います。私も杉並区といっしょに成長していきたいです」
岸本区長 「皆さんの言葉を重く受け止め感謝します。みんなで成長していくことが大切。多様性は、チカラ。杉並区多文化共生基本方針もあるので、これをどれだけ進められるか、行政としてみんなと一緒にやっていきたい。杉並区多文化共生推進懇談会を進めながら、活動を頑張ります」

最後に、エルジェの綿貫氏が、「垣根を越えて連携することが大切」と締めくくってくださいました。
今回のフォーラムを通して、杉並区の外国ルーツの家庭や子どもの課題を知り、分かち合い、これから共にチカラを合わせて取り組んでいく機運が高まっていくことを期待します。
チャイルド・ファンド・ジャパンでは、引き続き、日本における外国ルーツの子どもたちの学びが守られる地域づくりに貢献していきます。
【助成】社会福祉法人 中央共同募金会「外国にルーツのある人々への支援活動応援助成」
【後援】杉並区、杉並区教育委員会、杉並区交流協会、エベレスト・インターナショナル・スクール
【当日配布資料】
・第一部 調査報告(概要)
・杉並区多文化共生基本方針(体系図)
・(杉並区内)やさしい日本語教室リスト
・「やさしい日本語」ミニ講座

このフォーラムは、『中央共同募金会』の助成を受けて実施いたしました。